あたしの歩幅に合わせながら歩いていた龍は、そう言って首を傾げた。



「だって最近忙しいじゃない、あたしは衣装の準備もあるし、龍は団長だし」

『体育祭近くなると、もっと一緒にいられなくなりそうでやだな~俺は』

「あたしもそれは寂しいけど……でも、龍のがんばってる姿見られるから……」

『え?何?聞こえない』



あたしが少し声を小さくしていったからか、龍には聞こえていなかったらしく、龍は耳をあたしの方へと近づけてきた。あたしは恥ずかしくなって、そんな龍に答えず、下を向いてしまう。



『雅、どうした?寂しすぎて泣いてんの?』

「なっ!!そんなわけないでしょ!!」

『ふはっ!冗談冗談!なーにムキになってんだよ、かわいー』


龍に”かわいい”と言われ、あたしは頬は熱く感じる一方だった。


「何言ってんのよ!早くしないと遅刻よ遅刻!」


それをごまかすようにして、あたしは龍の手を引っ張り、早歩きに先を急いだのだった。