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あたしは今、自分の教室の前に立っていた。なぜ、中に入らないのか?それは、幹部の人たちが応援練習をしていたから。声が廊下に響き、いかにも練習してますって感じで、入りずらかった。
――どうしよう。
あたしは、その中に入っていく勇気も出ず、入れるタイミングが来るのを待った。すると数分後、応援の声がおさまったようで、何人かが教室から出てきた。あたしは、すぐにその人たちの間をすり抜け、教室に入る。
「龍っ」
そして彼の名前を呼ぶ。大声を出して熱くなったのか、長袖のジャージを腰に巻き付け、半そで姿になった龍の姿を見つめる。龍は、あたしの声に気づき、パッと振り向いた。
『雅!準備終わったのか?』
「ううん、採寸しにきたの」
『ん?また?』
ドア付近に立っていたあたしは、コクリと頷き、龍はあたしの方へ近づいてきた。龍は「じゃあ、ほら」と言って、両腕を横に広げ、いかにも「測ってください」というような、ポーズをとる。


