「黒板が見えないのよ、あんたの背中で」

『あ…なるほど』

「なるほど、じゃないわよ」

『ってことは、授業中雅は俺の背中を見つめてるってことか』

「……!!」


龍はまた恥ずかしい言葉をあたしに発する。そして、あたしの栗色の髪の毛を、指でくるくるといじりながら彼は見つめてくる。



『後ろ見れば、雅がいるし…』


――バクバクバクバク

 
あたしの心臓の音が鳴りやまない。彼の声が頭から離れない。


『俺、ほんと幸せ』


そう言って、上目づかいになるように顔を傾け、ニンマリと無邪気に笑った。


――それは、さすがに反則だ。


あたしがその顔にキュンときたのは言うまでもない。