あたしに微笑んだ龍は、真剣なまなざしになって、顔を近づけてきた。


「ちょっと」


あたしはそれに答えるわけもなく、龍の顔面を両手で押さえた。


『さっきの素直な雅はどこに行ったんだよ』

「それとこれとは話が別でしょ!!少し暗くなってきたことだし、帰るわよ」


少しムスッとした龍に、あたしはそう言って、ベンチから腰を上げた。そして、龍よりも先に歩き始める。


『雅』


龍があたしを呼ぶ、その声に反応して後ろへと振り返るあたし。


「何よ、早くしないと置いて……ん」


あたしが話している途中に、あたしの唇に龍の唇が重なった。


『……雅』

「ん」


彼はまたあたしの名前を呼んで、優しくキスをするのだった。