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帰りながら、龍は他愛ない話をしている。それに対してあたしは相槌を打ってばかりだった。それに気づいた龍は、あたしの顔を覗いて言う。


『さっきから、雅どうしたんだよ』

「……ちょっと……そこの公園で話さない?」

『話って、何?』


少し龍の表情が曇るのがわかった。あたしは、そんな彼の腕を引っ張って、近くの公園のベンチに座った。


「峰崎先生のことなんだけど」

『?』

「前に、あたし、龍と先生のこと聞きたくないって言ったでしょ。でもね、やっぱり気になって、今ここで、聞きたいの」

『……雅』

「龍が言いたくないのはわかってる。でも……」

『わかった、話す』


龍はそう言って、あたしの手を握る。龍の手は少し冷たかった。