『彼氏さんこそ、誰といたんです?あれ、先生ですよね?』
『幼馴染みなんだよ、広佳が言ってただろ』
――ズキン
と心がまた痛み始めた。ついさっきまで、忘れようとしていたことなのに、また考え始めてしまう。唇をかみしめ、精一杯我慢した。龍には何も言わない、そう決めたんだ。先生とは幼馴染みの関係。それ以上何もないのだから。
『幼馴染みってだけですよね?』
『ああ、それ以外何があんだよ?』
『……』
『なんだよ、言えよ』
『先輩をこれ以上傷つけないでください』
『は?』
『彼氏さんは、先輩を傷つけてるんですよ。その幼馴染みさんと一緒にいることで』
『…え』
『次、先輩のこと泣かせたら許しませんから』
三田君は笑顔でそう言うと、さっさと歩いて行ってしまった。


