龍のものすごい視線を浴びる三田君だったが、三田君は屈託のない笑顔で龍を見た。それに対して龍はというと、ずっと黙ったまま何も言わない。
あたしはそんな2人に挟まれ、気まずくなる。
『雅の彼氏、俺なんだけど』
そんな不思議な空気を破ったのは龍だった。いきなり口を開いたと思えば、また変なことを言い出す。三田君はその言葉に、少しキョトンとした様子で話し始める。
『知ってますよ、そんなこと』
『じゃあ俺の彼女に手出すなよ』
『出してませんよっ』
『昨日のは何だよ、昨日のは』
『あれは先輩が言った通り、夕飯を一緒に食べただけです』
『夕飯の時点で可笑しいだろ』
『何がですか?』
淡々と続く会話に、あたしは口を出すことができない。龍も三田君も会話をやめようとはしないのだ。


