広佳の声が、少し寂しそうに聞こえたから、気にかかってしまう。俺は、囁くように答える。
「うん」
『……だよねー!ははっ、私何言ってるんだろう』
「ごめんな」
『え?』
俺も自分自身に驚いた。まさか自分の口から「ごめん」の言葉が出るなんて。でも、あの時を境に広佳と会わなくなって、話さなくなって……。謝る機会なんてなかった。だから、今謝らなければいけない、と思った。
「ずっと昔のこと」
『あー私にいきなり告白してきたときのこと?』
「それ……しかも無理矢理キスまでして。ほんとにごめん」
『うん』
「あの時は本当今よりもガキで」
『うん』


