『あんたなんかまだガキよー!』
広佳が俺の頭を触りながら言う。
「触んなっ!」
『あーら、ひっどーい』
「………」
俺が黙ると、広佳は気が済んだのか、自分の鞄を手に取り立ち上がった。
『じゃあおばさん、私もそろそろ帰りますね!』
『え?今日は泊まって行かないの?』
『家で仕事したいし、また来ますよ』
『あら、そう?じゃあ龍送ってやんなさい』
「また俺かよ!」
『龍よろしく~』
母さんの言った言葉に少し愚痴をこぼしたが、広佳は嬉しそうに俺に笑顔を向けてくる。
俺はささっと立ちあがり、玄関まで歩いて行く。母さんと蜜も、広佳を見送りに玄関まで来ていた。広佳はまだ母さんと話している。そんな広佳に、俺はせかすように言う。
「早くしろよー送ってやんねぇぞ!」
『はいはい!じゃあおばさん、蜜またね!』
広佳は母さんと蜜に手を振ると、俺は玄関の戸をガチャリと開け、外へと出た。


