――春が来た。 あたしは、顔を上げて空を見上げた。 雲一つない真っ青な空に、桜の花びらが舞い散る。 逢坂雅〈アイサカ ミヤビ〉、今日から3年生です! 『雅―!』 少し懐かしい声が、わたしの後ろから聞こえた。 親友の、吉野愛沙美〈ヨシノ アサミ〉、あさみんの声だ。 「あさみんッ!」 あたしは、すぐに振り返ってあさみんの名前を呼び、後ろにいたあさみんに抱き付いた。