会えた・・・。

嬉しくて、熱いものが込み上げてくる。
でも、まだ泣くのは早い。

私は急いで目を拭った。


で、でも、どうやって話し掛けたらいいんだろう。

いざ目の前にすると、物凄い緊張感に襲われた。

さっきまで凍えていた手が汗ばむ。ぎゅっと手を握りしめた。


「チホの気持ちには気づいてたんだろ?」

「ああ・・・。」

「じゃあなんで?」


隼人たちの声が近づいてくる。それに比例して、心臓が大きな音をたてた。


「俺・・・、好きなやついるから。」


隼人が答えたその言葉で、私の心臓は、一際大きな音を立てて、止まった。



好きな・・・ひと・・・。




そうだ、なぜ考えなかったんだろう。

隼人には、もう好きなひとがいるかもしれなかったんだ。


なんで、自分がこうだから、隼人も同じだなんて、どうしてそんな都合のいいこと、考えてたんだろう。


「はぁ!?なんだよ、お前、好きなやついんのかよっ。」

「へー。初耳だな。誰だよ、俺らの知ってるやつか?」


隼人の友達が騒いでいるのが聞こえる。どうしよう、泣きそうだ。

こうしている間にも、隼人はこっちに近づいている。

どうしよう、私、渡せないよ・・・!


「お前らが知らないひとだよ。ずっと、好きなん・・・。」


動けずじっとしていると、苦笑いでそう答えていた隼人が、門から姿を現して、動きを止めた。

隼人の目が、私を捉える。


永遠にも感じられるような沈黙が、二人を包んだ。


まるで一瞬、世界には二人しかいないんじゃないかって、そんな気にさえなった。


「あ、やみ・・・。お前、なんで・・・?」

隼人は相当驚いた表情で、私にそう話し掛けた。