4年間も離れていた私に、今の隼人の居場所などわかるはずもなかった。彼のアドレスも、とうの昔に消してしまっていたし、彼と連絡を取っている共通の友人はいなかった。

だから、最初は途方にくれた。会いたいと思っても、居場所がわからない私には会う術がない。

しかしあの再会した日の、彼の言葉を思い出した。


---今は、大学に通ってる。お前に話してた第一志望のとこ--


私は、その大学名を覚えていた。メジャーだし、何より彼がその大学へ傾けていた情熱は並々ならなかった。
彼が入りたがっていた学部も、きちんと覚えていた。


大学のキャンパスは、彼の学部ひとつだけではないし、学生も何百人といる。それに、休日でもあり大学生にとっては春休みに入っている14日に、彼が学校に来る確率は、極めて低かった。

だけど、今の私にわかっている情報はそれしかない。


もう、諦めたくない。


私は、万に一つ、賭ける思いで、今日隼人の通う大学の門の前に立っていた。


休日だから、もう少し人が少ないかと思っていたけれど、そんなこともなかった。さすがは、マンモス大学だ。もうすでに学生という身分を自ら脱ぎ捨ててしまった私には、何だか眩しい気持ちさえあった。


しかし、7時間も立っていても、隼人は現れない。そんなに甘いものではない、と思ってはいたけれど、実際本当に甘くなかった。


もし、今日会えなかったら----。




私は、昨日ひそかに一人で決めたことを思い出していた。