「それに、お前はまだ前に進めてない。4年経った今も、お前の心の一部はきっと、置き去りのままなんだよ。」


それは、その通りだった。

4年経って、大学をやめて、仕事をするようになった今も、どこか一部分だけが、あの青春時代の中で止まっている。

行き場を失ったまま、さ迷ってるんだ。


「でもお前は、強くなったはずだ。」

店長の言葉に、ハッとする。

「誰にも話せなかったことを、話せるくらいに。あの頃わかんなかったことも、少しはわかるようになっただろ?」

あたしは鼻をすすりながら、コクンと頷いた。

「だったら今、なにをすべきなのかわかるだろ?」

え?

店長は自信満々の笑みをたたえている。

なにをすべきか・・・?


「・・・せっかく再会できたんだ。置き去りにしてたもん、取り戻しに行ってこいよ。」


置き去りにしてたもの・・・。

取り戻せる・・・?


「できると思うよ。お前の幸せが何なのか考えれば、な。」


あたしの幸せ・・・。それは・・・。


「隼人のそばに、戻りたい・・・。」

あたしは小さく、呟いた。

あの頃みたいに、笑い合いたい。

「それがわかってんなら、行くしかないだろ。」

「で、でも、隼人はもう・・・。」

あの女の子と・・・。

「あーもう、ぐだぐだ考えんなよ。再会した時、彼はなんて言ったんだよ?」

再会した時・・・?

「後悔してるって・・・。別れた理由を、教えてほしいって。」