どこか誇らしげな顔をして菖蒲は言った。


「へぇ〜!澄乃さんって、関西弁でしょ?なんで?関西の人?」

「あ〜、澄乃様は一人旅が好きなのよ。フラッとどこかに言って、フラッと帰ってくる。
そのせいか、ちょっと関西弁なのよね。」

「なるほど…。」


完璧な関西弁!ではないけど、此処では珍しい。
沙柚がこちらに来る前は、東京にいたので関西弁は聞くことがあまりなかった。
この世界のこの場所は、どこなのかはまだ分かっていないが。

「菖蒲…さん、は澄乃さんが好き、なの?」

澄乃のことを話す菖蒲は、楽しそうな優しい目をする。
沙柚は聞いてみたかった。

「―――――好き、よ?だけど、それは…憧れ。恋愛なんかぢゃないのよ。」

「、そっか。」


菖蒲はどこか遠くを見て言う。沙柚はもしかして、自分と同じでは無いのだろうか。
と思ったが、口には出さなかった。


「あなたは燿十様のこと、?」

「ん〜?………さぁ、どうなんだろね。」

曖昧な顔で沙柚は言った。菖蒲は眉を寄せる。

「(変なとこで分かりにくいんだから。)」

菖蒲がそう考えていると、沙柚は、違う話を出す。


「燿十たち何話してるんだろね。」

「いつもと同じでしょ?」

「いつも、?」

「燿十様は妖の情報、澄乃様は人間の情報……っていうと聞こえが悪いわね。
とにかく、お互いの情報を交換しあってらっしゃるの。」

「へぇ〜、よく分かんないけど情報交換なんだね。」

「はぁ、あなた賢いのかアホなのか分かんないわ。」

呆れた、といわんばかりに溜め息をつく菖蒲。

「なっ!アホぢゃない!…………賢くもないけど。」

「ぷっ、何よ、それ」


笑い合う2人の周りには優しい雰囲気が漂っていた。