大浴場へと続く廊下を歩いていく。壁に明かりや風景画らしきものが飾ってある。それらはどこもみたことのない景色だった。その中でも一つ気になる絵があった。

「あの、この絵はどこの風景なんですか?」

「それはな、一体なんの絵か分からねえだよ。
きっと妖たちしか行けない場所だから、嬢ちゃんには行けねえようなとこだな。」


ちろ、横目でその絵をみる。なんとも殺風景な絵だった。

暗い空に丘らしき場所で、ぽつんと一つ人影がある。周りにはなにもない。

沙柚は、なんだかこの絵がとても気になった。

「さっさと、いくだよ!」

ふ、とそこで考えるのをやめて着いて行った。





すぐに、脱衣場に着いた。
一つ一つ区切られている棚がありそこに籠がある。まさしく銭湯だ。
でーんっ!ととても大きな木の扉がある。それは一本一本の木の間があいていて、通気性がよさそうな扉だ。高さでいうと、上が二メートル、横が三メートルくらいだ。


「おっきーっ!」

沙柚は思わず叫んだ。

「そだなー、妖にはこの扉くらいでっけぇ奴もいるだよ!」

そうなんだ、少し見てみたいかも。と沙柚は思っていた。


「おーい!泥たぼう!ちょっとこっち来てくれ!」


一体誰が来るんだろうっ!
と内心ドキドキな沙柚は、扉が開いてびっくりした。