「次は3階だなー。」

階段を降りながら燿十がいった。

「3階はどーなってるの?」

「ん?風呂だ。」

「へ〜。お風呂か〜…………………………は!?」

さも当たり前のように燿十が言うので沙柚の反応がおくれた。

「お風呂って3階全部!?」

「いや、とにかく行けばわかる。」

本当にどうなってるんだよ。

燿十にそう言わずに飲み込んだ自分に沙柚は拍手した。






3階につくと、受付があり、大浴場と小浴場に別れていた。
受付の右にオレンジ色で"大"と書かれた大きなのれんが掛かっていてそこから、大浴場につながっている。反対の左側には青色で"小"と書かれたのれんが掛かっていた。

入り口のすぐ右には、ちょっとした待合室的なものがあった。妖が腰に手を当てて牛乳をぐびっくびっと飲んでいる姿は、まるで人間だ。


しばらく見ていると、沙柚は女湯がないことに気付いた。

「ねえ、燿十。」

「ん?中見たいのか?」

「いや、女湯は?」

「あ〜…ここには、女妖がほぼいなくてな〜そいつらの部屋にあるんだよ。」

「………………………私どうすれば………?」

沙柚は、妖たちと入るのが嫌ではないが、少し抵抗があるのも事実だ。

「まぁ、なんとかする。」

燿十がそう言ってくれたので、まぁなんとかなるか。と思った。

「さあ、次行くぞ。」