燿十の瞳は真剣に、まっすぐ沙柚をみていた。

「…―私はそんな大層な人ではないし、元の世界に帰りたいって思ってる。
この世界が大変なことなのは、分かったよ。
けど、世界を守るとかいきなり言われても、いまいちピンとこない…。」


「そりゃそーだ。何も今すぐに戦えなんていわねーよ。
ただ、お前はそれだけ俺らにとって必要なんだ。

協力するというなら帰る方法を探してやる。
ただで帰るなんて、させないぜ?
ギブアンドテイクだ。」


「…………」

そんなのすぐに頷けるわけない。沙柚は黙った。

「まぁ、まずはこっちでの生活になれることだな。
答えが決まるまで、お前をここで面倒みてやる。



"答えが決まるまで"……か。

沙柚の答え次第で追い出す、と言っているようにも聞こえた。それでも、今は燿十の言うとおり慣れないといけない。
期限付きでも面倒みてくれるのはありがたいことだ。


「ここでの生活は…あ〜。俺の部下をここに連れてくるからそいつに聞け。

なんかあれば、俺かそいつ呼べばいーから。」


こくんっと沙柚は頷いて、表情はまだ暗いが、少し笑顔でいった。

「……ありがと。」


「…………!ふっ。あぁ、ドウイタシマシテ。」


燿十は、少し驚いた顔をした後、軽くわらって部屋を後にした。