―――――――…… そういえば、数歩さきに歩いている彼の名前を知らない。 聞かれてもいない。沙柚は聞こうか迷った。だがもしかしたら聞く必要がない、と思われているのかも知れない。 まだ疑いが晴れてないのだろうな。そう思うと、聞くに聞けなかった。 どんよりとした気分のまま、ただ彼の後ろを歩いていた。