【短】口悪男

「そ、そんなのズルイ」


「ボケが。それは俺の台詞なんだけど?」


武蔵の瞳に吸い込まれてしまいそう…。

今なら素直に言える気がする。


「あたし…」


「ん?」


少しだけ微笑んだ武蔵に、あたしも笑顔を返した。


「あたし、武蔵が好き」




そう言ったと同時に唇を塞がれた。

腰に手を回され、武蔵に引き寄せられる。


「お前まじでクソバカ。その言葉、超聞きたかった」


ニコッと笑う武蔵の顔は、小さいときと何も変わってなかった。


「俺も、鳴がずっと好き」


また重なる武蔵の唇は、角度を変えて何度も何度もあたしの唇を覆った。

甘い吐息が溢れても、止まらない優しいキス。


あたしはやっと、自分の気持ちを自覚した。