【短】口悪男

「お前バカだから、自分の誕生日も忘れてたろ」


ストラップを見つめながら、コクンと頷いた。


「昔からボーッとし過ぎなんだよ。あんまり俺に心配かけんなっ」


いつもの口調にも、心がふわふわになる。

変な…感じ。


「男にも言い寄られんなっ」


そう言いながら、立ち上がってあたしの右手を掴んだ。




「意味分かるよな…?」


じっと見つめ合うあたしたち。


分かる…ってか、そうだといいなとは思うけど……

自信なんか全然ないから。


「あたしバカだから、言ってくれないと分からないよ…?」


武蔵はモテるんだもん。

あたしとは違う…っ。


「だったらお前から言えよ。俺がどんだけ待ったと思ってんの?」