【短】口悪男

それって、捜しに行く前には見付けてたってことよね!?


「何で言ってくれなかったの!?」


わざわざ出歩く必要なかったわけだよね?

またあたしに嫌がらせ!?


怒ろうとしたあたしの声は、次の武蔵の言葉に消えてしまった。


「お前と一緒にいたかった」


驚きを隠せないまま携帯を受け取る。


あれ?

そこには、携帯をなくす前にはなかった物が増えていた。




「今日、お前の誕生日だろ?」


キラキラ光るストラップ。

ピンクの小さな花がついた、大人っぽい綺麗なチャーム。


少しだけはにかんで笑った武蔵を、ストラップ越しに確認した。


ドキドキと胸がすごい音を立ててる。

きゅーって締め付けられた胸に、温かいものがじわっと広がった。


「……ありがとう」


振り絞って出した声に、今度は顔を背けられてしまった。