【短】口悪男

「お前さ、どこまでバカ?」


近くのベンチに座りながら、武蔵がまたあたしをバカにする。


「な、何よ!!唐突に」


「はぁー…」


今度はあたしを見ながら、ため息をついた。

って…ため息!?


「武蔵、ため息嫌いっていつも言ってるじゃん」


だから、武蔵のため息なんて初めて見る。


「バーカ。俺が嫌いなのはお前のため息」


ため息なんて、どれも一緒でしょ?

何でいつもあたしだけ…!!




「俺はお前がつまんなかったり、悩んでるのが昔から嫌いだ」


「え?」


「だからお前のため息は大嫌い」


赤く染まった空を見上げながら、武蔵は言葉を続ける。


「いくらバカでも、そろそろ意味分かるだろ?」