【短】口悪男

「ち、違うって!!付き合ってるわけないじゃんっ」


ひっくり返った声が、更にその疑惑を広げてしまう。


「…だよな。お前、好きな男いないっつってたもんな」


苦笑いを浮かべた岸田に、そのまま別れを告げようとしたとき……

黙ったままだった武蔵が口を開いた。


「つかお前、まだ鳴のこと好きなの?」


うえぇ!?

こんのバカ武蔵!!

あたしがせっかく普段通り接してるのに!!




実は先月、岸田に告白されたの。


仲はいいし友達としては好きだけど、付き合うってことがよく分からなくて……

断ったら、それからずっと気まずい感じ。


だから、今それを掘り返して欲しくなかったのに…!!


「……織田には関係ねぇじゃん?」


スッと真っ直ぐ武蔵を捉える瞳。

そしてそんな岸田をじっと見る武蔵。


な、何この空気!?


「関係…あるから」