【短】口悪男

「…………」


「…………」


「…………」


「ちょっと…何か喋ったら?」


歩き始めて数分。

全く口を開かない武蔵。

いつもは無駄にうるさいくせに。




「あ?お前こそ、少しは捜せよ」


「だって…こんな公道に落としてたとしたら、絶対もうなくなってるでしょ」


この道は車もたくさん通るし、人もたくさん歩いてる。

三日前に落とした携帯が、まだここにあるとは思えない。


「それよりさ、お腹減らない?」


「は?」


「武蔵待ってたから、まだお昼食べてないんだよね」


「は?」


「ね?」