私は緊張で しばらく動けなかった。 さっきの汗はまだひかない。 「ねえ」 ビクッ。 肩が強張った。 声のしたほうを見ると 背の高い、男子が私を見ている。 「な、なんでしょうか」 何故か敬語で、弱気な声。 でも相手は顔色一つ変えない。 ポーカーフェイスだ。 今まで会った事のない人。 出会って間もないけど、 すぐにそう感じとった。 「俺、真田卓朗」