20××年4月7日、
私はまだ見慣れない道を
一人、走っていた。


「遅刻だーっ」


入学式。
初日から遅刻なんて考えられない。


息を切らし、新しく買った
ピンクのリュックを
大きく揺らしながら、
学校前の坂を一気に走る。

桜並木を見る余裕はない。


私は全力で坂を駆け上がった。