髪を染めたといっても光の髪は傷みなんて知らないように、縦に流れる。
「ピアス右にも開けたいな。痛いけど」
「開ければいいじゃん」
「綾瀬さんに開けて欲しいんだよ……また来るから」
「ここは私の場所じゃないよ」
右耳に触れていた手が静かに離れる。
近い。
こんな至近距離だとこのドキドキが聞こえてしまわないかと不安になる。
「好きだよ」
光の静かな声が保健室に響いた。
後に聞こえたのは光のクスクス笑う声と私の心臓の音だけだった。
ああ、またそうやって笑う。
その笑顔を見るたびに私は光から目が離せなくなるんだろうな。
End.

