「また泣いてんの?」 不意に聞こえてきた声に、急いで顔を上げる。 「せ……ぱい……」 なんで……? 泣くのも忘れ、ただ驚くしかなかった。 「ほんと、走らせるの好きだな」 先輩は呆れたように溜息をついた。 あたしはまた走りだした。 「おいっ!」 駄目。 どうして追い掛けてきたの? せっかく吹っ切れようとしたのに、そんな期待させるようなこと…… しないで…… 「待てよっ」 腕を先輩に掴まれた。