そして、フワッと優しい空気に包まれた。
あたし、先輩に抱きしめられてる……
「離して下さい」
「離さない」
抵抗するが、先輩はびくともしない。
ゆっくりと体が離れたかと思えば、先輩の顔が近付いてきた。
先輩の唇とあたしの唇の間が数センチというとこで、あたしは先輩の体を押した。
「駄目っ!!」
拒否られると思っていなかった先輩は、驚いた顔をしている。
泣いてしまいそうになる。
だけど、泣いちゃ駄目……
「彼女いるのに、駄目ですよ」
きっと今のあたしの顔は最悪だと思う。
今にも泣きそうな顔で、無理矢理作った笑顔。
ほんと、あたしって嘘下手くそ……


