ずんずんと先輩があたしに近付いてくる。 それに合わせてなぜか後ずさってしまうあたしの腕を、先輩は掴んだ。 ビクンッとあたしの体が跳ねる。 「待ってたんだけど」 真っ直ぐに見つめられ、視線を外す。 「で、でも……約束とか……してないし……」 「約束しなくても、待ってると思った」 いや、それはないでしょ。 てか、この好景他人が見たら怪しいよね…… 「あの……それより先輩、腕……」 言いにくそうにあたしが言うと、先輩はなんのことかわかって離した。