感情の樹



『もしかして、旅人?』


ローラは目を輝かせながら
ぼくに問い掛ける。


『まあ、そんなとこ』


するとローラは
少し興奮気味になった。


『じゃあ、じゃあ、いろいろなところへ行ってきたの? いろいろなものを見てきたの? どこが一番素敵だった?』


そんないっぺんに
聞かれても
ぼくには口がいくつも
あるわけではない。

最後の質問にだけ答えることにした。


『しいて言うのなら、ここかな』


そうするとローラは
パアッと笑顔になった。