「でもね雛?俺も雛に彼氏がいるんだと思ってたんだ。」



………え?なんであたしに彼氏?



別になにも勘違いするようなことしてないよね?



「家にはいつも呼んでくれないし。終わった後はすぐ帰っちゃうし……」



直矢はあたしを見ずに顔をふせてた。



あたしと同じこと思ってたなんてね………。



「でも……ずっと言えなかった。雛を失うのが怖くて……。」



直矢はあたしに悲しげな笑顔を見せた。



その笑顔にあたしは泣きそうになった。



あたしが泣いていた時、直矢も悲しんでくれてたの?



あたしと同じように苦しくなってたの?



「……ごめんね。」



あたしは直矢にたくさんの意味をこめて謝った。



直矢はあたしをジッと見てから微笑んだ。



「でも…もう怖くない。俺は雛しか見えてないから。ずっと俺と居てよ……雛。」