直矢がフッと笑い、あたしは急に慌ててしまった。
「え?!だ、だって指輪つけてたし!香水だって!」
あたしがあまりに慌てて言ったからか、直矢がクスクス笑い出した。
でもすぐにやんで、急に切ない瞳になった。
「服は姉貴のデートで着るやつ選ぶため。」
……そっか。
「指輪は彼氏と指のサイズが一緒だから試しにつけさせられただけ。」
………そういえば、あれからつけてなかったよね?
「で、香水は姉貴のデートの日につけるやつをかけられたの。」
……てことはあたしが彼女……いや、お姉さんと会ったときデートだったのか。
ていうか………あたしの思い込み?
「そう。全部、雛の思い込み。」
そういって直矢は少し切ないけど、優しい瞳をした。