部屋についてわかったけど彼女さん、あの甘い香りがした。
直矢からしたいつもとは違う香りが……。
ここまで考えてあたしは頭をふるった。
もう考えない。
あたし、直矢にちゃんと気持ち伝えてあきらめる。
奈々香が言ってくれたんだから。
余計なことは考えない。
ケータイを開くと直矢からの着信がたくさんあった。
あたしがリダイヤルしようとした時、
♪ブー、ブー♪
とケータイが震えた。
画面には『直矢』と表示された。
一回深呼吸をして、あたしは通話ボタンを押した。
「雛!?」
あたしが『もしもし?』というよりも先に直矢があたしを呼んだ。



