「雛?おまえはなにか勘違いしてる」
奈々香は窓の外を見ながらあたしに言った。
「おまえに優しくするのは、おまえが周りにいつも優しくしてくれるからだぞ?」
奈々香とは思えない言葉に涙がまた溢れる。
「わかったら泣くな。本当にそのブサイク面になるぞ?」
そういって奈々香はあたしの涙を指ですくった。
もう、いっそ奈々香が男の子だったらよかったのになんて思った。
でも友達だからこそっていうのもあるよね……?
「あいつとなにがあったか知らないが、もう一度話すべきだ。そしたらうちに来い。」
奈々香はあたしの家の前に車を止めさせて、そう言った。
あたしは車から降りて奈々香にありがとうと言った。
そして車が遠くなるまで手を振った。
奈々香は窓を開け、少し手を振ると車は角を曲がっていった。
あたしもそれを確認して家に入った。
「ただいま……」
………やっぱり反応はない。
ショックも、もうだいぶ薄れてきた。



