あたしの手首は直矢によって動けない。
「よかった……」
直矢はあたしを見ずに呟くように言った。
あたしはわけがわからなくて混乱状態。
「雛が手出されなくてよかった」
直矢はそういって目をあわせ微笑んだ。
あたしはその笑顔に胸がキュンとした。
……なんで直矢は疑わないんだろう。
あたし、また直矢を信じちゃうよ……?
「でーも、雛にはおしおきしないとな?」
直矢はそういってあたしの唇と自分の唇を重ねた。
薄く、柔らかい直矢の唇。
だんだんあたしの唇が熱をもち始める。
息苦しくて、あたしは直矢の背中を叩いた。
すると直矢はぱっとあたしから離れた。
肩で息をするあたしを見て直矢はふせながら言った。
「雛……ごめん。なんか俺、余裕ないみたい」



