「だから無理して笑ってんな」
奈々香はそういってあたしをぎゅっと抱きしめた。
たぶんなにがあったかなんて知らないだろうけど、あたしを本気で心配してくれた。
あたしはまた涙がジワッと目に浮かんだ。
「おまえはアホか?何度同じことを繰り返す。すぐに言えといってあっただろ?」
奈々香はまた冷たいことを言う。
でも来てくれて本当に嬉しかった。
「……ありがと。奈々香」
あたしは奈々香に抱き着きながらいった。
そのとき涙が頬を何度もつたった。
「……雛。あの「チャチャチャーチャチャ…」
奈々香の言葉をさえぎるようにあたしのケータイが鳴った。
それと同時に奈々香はあたしから離れた。
「ちょっと待ってて」
あたしは部屋に入ってケータイを取った。



