もっと、もっと求めてほしい……。
あたしは自分から少し口を開いて直矢を招いた。
でも直矢はあたしの体をゆっくりはなした。
そしてなにもなかったように笑った。
「中入んなよ」
そう言ってあたしの手をひいてリヒングへ。
あたしはもう直矢に嫌われたんだ……。
そう思ってまた涙腺がゆるんだ。
リヒングにつくと直矢はあたしをソファーに座らせた。
「あー!もう!!」
直矢はしゃがみこみながら言った。
そして顔をあげた時にはもう真っ赤。
「玄関であんなことされたら、もぉダメだって!!」
もしかして……照れてる?
あたしは直矢の照れてる顔なんか初めてみた。
なんか……ちょっとだけ、また直矢に近づけた気がする。
なんだか立場が逆でクスクスと笑ってしまった。
「ちょっ!笑うなって!」
それでも嬉しさが混じってたからか、笑いがとまらなかった。
幸せな笑顔。



