その日の夜、あたしの着信音が鳴った。



名前を見て胸が苦しくなった。



「……もしもし」



「雛?これからこれる?」



あたしの胸に何かがまた刺さった。



でも返事は決まってる。



「……うん」



「よかった。じゃあ後でね」



直矢と久しぶりに会うのに……なんだろう。



胸はズキズキでいっぱいなの。



髪をまとめて夜の街に出かける。



街灯のあかりが夜道を照らす。



あと上にある黄色い月だけ。



何分か歩いていると直矢のマンションが見えてきた。



エレベーターで上り、直矢の部屋のチャイムを押す。



………あれ?



ピーンポーン………



………あれ?出ない?



あたしがもう一度チャイムを押そうとした時



ぎゅっと後ろから抱き着かれた。



「ひ〜な。」