それでも溢れてしまう涙を奈々香は人差し指ですくってくれた。
「あたしのことを親友と思うなら、心配ぐらいかけさせろ。」
あたしは声を押し殺して泣いた。
息が苦しくなるぐらい酸素が吸えなくて、奈々香にたいしてなにも喋れなかった。
奈々香はあたしの腕を掴んで、直矢の位置から遠くの路地であたしの頭を撫でながらなぐさめてくれた。
そんな不器用な優しさがあたしにとって最大級に嬉しかった。
落ち着いてきたとき、いきなり奈々香がため息をついた。
顔を見上げると奈々香はあきれた顔をした。
「だいたいな?おまえには迷惑しかかけられてないんだ。心配ぐらい苦なわけがないだろ?」
………やっぱり奈々香だ。
と、あたしはひそかに思ったりした。
でも冷たい言葉の中にあたたかい友情があったきがした。