「くっ、ふぁ~・・・」
ぽかぼかと暖かな陽気に包まれた朝。遠くからでも目立つ明るい青の家から少年が一人、大きな背伸びをしながら出てきた。
少年の名はアレン・リア・ヴァレーヌ。
白髪と雪のように白い肌が印象的なアレンはとても優しく、心の広い子だ。
「アレンちゃん!!」
アレンが青く澄みきった空を見上げていると、前の家から白髪混じりの女性が小走りで近寄ってきた。
3ヶ月前、息子の留学に付き添いで日本から来た女性は、とても急いでいるようだった。
「あっ、おはようこざいます、千代さん。何かあったんですか?」
「アレンちゃん、見てないのね」
アレンには何のことかわからなかった。
小さく首をかしげるアレンに千代は赤い封筒を見せた。
「これは?」
「国王の執事からの手紙よ。アレンちゃんにも来てると思うわ」
「どうしてです?」
「アレンちゃん、16歳よね?この手紙ね、15歳から17歳までの子供たちに送られてるみたいなのよ」
アレンは落ち着いた足取りでポストに向かい、中をのぞいてみた。
「あぁ、僕にも来てます。でも、赤ではありませんね」
アレンの元に届いていた手紙の封筒の色は赤ではなく、黒だった。
「どういう事・・・かしら」
千代は不思議そうに黒い封筒を見つめる。
「中身は?」
その問いにアレンはそっと封筒を開けて、中を確かめた。
「黒い紙の手紙と・・・、何だろ、これ?」
その封筒の中には黒い手紙と、何処かの地図があった。
「確か」