その後すぐに点滴の用意をする。

「これは……何?」

「点滴といって、今は食べる事が出来てもやがて出来なくなり始めるだろう……栄養や水分が無くては人は生きられない。その代わりだと思えばいい」

 病状の進み具合が分からない為、先手を打っておかなくてはならない。


 昼はまだ元気にしていて普通の食事をアザムは食べていたが、夕方ごろから症状は少しずつ悪化していく。ほんの少しだけ食事を食べるだけが限界だった。

 リッキーも含め、院生達はベリルの観察はしている人間は居るものの、前日とは違い質問も言葉も何も掛けてこない。

 いや、少年の姿を見て声を掛けられる人間など一人も居なかった。

「大丈夫か?」
「うん……おじさんこそ大丈夫なの?」
「ああ、私のことは気にしなくてもいい」

 逆に心配の声をかけるアザムに小さく微笑みを見せた。アザムはその言葉に安心し眠った。