しかし、その姿にベリルは眉をひそめた後、苦笑いを浮かべる。

「お前は何を勘違いしているのだ?」

 そう言うと、アザムの後ろまで来て一枚目の扉を開き、アザムを軽く押しながらベリルも一緒に入ってゆく。

「え? あ、あの……」
「誰もお前を一人にするとは言ってはいない」
「け、けど……」

 
 ベリルは一枚目の扉の中で、続けて何かを話そうとしたアザムに、とりあえず部屋の中に入り、ソファーに座ることを促す。

「……ボクの中のウイルスは殺人ウイルスだって!」

 当たり前の疑問、心中は穏やかではないアザム。

「ああ、そうだな」
「だ、だったらおじさんは――」

 少年が“死”という言葉を紡ごうとしたが、遮るようにベリルは言葉を続ける。
 
「私だから平気なんだよ」

 疑いが大半を占める言葉に強い言葉使いでアザムは返す。

「なんで!? 何でそう言えるのさ!」

 その問いかけに、冷静な言葉でベリル自身の事実を告げる。