開いたエレベータに乗り込む二人。一階分なのでとても短い。

 三階以下に行くには上層部又は限られた護衛の指紋が必要となるため、客間に使う部屋はカードキーという簡単な作りとなっている。
 
 エレベータの斜め向かいの403号室が、今アザムに与えられた部屋となっている。

「私は一度社長室に行くので、食事は今先に持ってきますので一人で――」
 
 部屋の前でレイがそう言うと最後まで聞かずに、首を横に二、三度振るアザム。

 小さく息を吐くとアザムの頭をポンポンと二回撫でる。

「OK、では報告は三十分以内で終わらしますので、待っていて下さい」

 レイは扉を開けてアザムに中に入るように促がし、冷蔵庫のジュースの存在を伝える。

 万が一‘廊下に出てしまう事’を考えて、部屋自体のカードキーは渡さずに扉を閉める。

 レイはアザムの居る部屋の扉の外で一度瞳を閉じる。三秒ほどして瞳を開くと、冷たく表情の無い瞳へと変貌する。