車は先の街を目指してはいたのだが、道を少し逸れ、人気の全く無い廃工場の中に車ごと入りエンジンを切る。



「今日はこれ以上動かずここで過ごし、明日は朝早くに移動を始め、この街に入る」
 
 そう言いながらカーナビに映し出されている街の一つを指差す。

 ベリルは車を一度降り、火を起こし手軽だが具沢山のスープを作り、白パンと一緒にアザムに手渡す。

 そして、ランタンに火を灯し、毛布をアザムの膝に掛けてやる。
 
 ベリルは車の外の火を消し、自分も車に戻りスープを少し味わう。

「……あ、おいしい」
「そうか、簡単に煮込んだだけのスープだが、冷える夜にはいいだろう」

 二人は食事を済まして、肩まで毛布をかぶる。