その動きにアザムを腕から落とすように降ろし、ガルナは慌ててハンドガンをベリルに向け発砲する。

 ベリルはその銃弾を避け、地面に置かれた自分の銃を手に取る。

「アザム! 横に」
 
 アザムはピックアップトラックの反対側に逃げるように隠れる。
 
 ベリルの動きとアザムの回収、そして今の状況に普段は落ち着いているように見えるガルナも動揺が隠せない。
 その事を完全に読み切っているベリルは銃でガルナの銃を弾き飛ばし、そして獣のような素早い動きで、慌てるガルナに近付き銃を眉間に突きつけ、
 
「チェックメイトだ」
 
 そのベリルの言葉にガルナは観念したように両目を閉じる。その姿に苦笑いを浮かべるベリルが次の言葉を発す。

「なーんてな」
 
 その言葉と共に、もう片方の手で顔を嘗打され倒れこむガルナの姿。
 痛さで倒れこんでいる二人の男にベリルは先ほど奪われた武器などを回収しながら話し出す。

 「社長はFBIに捕まったよ。もう、私達を追うことは無駄な行為だ」

 社長の現状、“FBI”という言葉に、二人の男は驚きと落胆の表情を見せる。

 その姿にこれ以上の反撃も抵抗も無駄だと判断したとベリルは読み取り、アザムを車に乗せその場を立ち去った。