車から出てきたのは、アザム見覚えのあると確信したガルナと、見覚えの無い黒髪の男が一人……
 黒髪の男は、手に持っているハンドガンで一発、運転席側の地面に撃ち込む。

 アザムはガルナに無理やり降ろされ、抱えられたまま黒髪の男の後方まで連れて来られる。

「お前も車から出ろ」

 その言葉にベリルは無言で車から降り、壁に両掌をつけて黒髪の男にボディチェックをされ武器を奪われる。
 
 地面に置かれた武器は拳銃が三丁にナイフが二本、針が数本……

 唖然とした顔を見せる黒髪の男。傭兵だと知っていたアザムもアザムを抱えているガルナも正直驚いている。

「貴様……一体何者だ?」
「……傭兵だが」

 その答えを聞いた黒服の男二人は納得をした。

「それより、下は調べなくてもいいのかね?」

 ベリルの言葉に黒髪の男はハッとする。武器の多さに驚いていたため腰から下はまだだったからだ。
 
 そしてその男はベリルの足元を確認するために腰を落とそうとする。

 その瞬間ベリルは腕の伸縮を使い壁を突き上げるように反動で男に体当たりをする。驚く男に隙を与えず、ベリルは勢いを付けたまま振り向き、男の顎の辺りに掌底を一発入れる。
 
 頭が揺さぶられる感に襲われる男の足元を、しゃがんで足払いをし横倒しにする。動けない黒髪の男。