翌朝アザムは、ベリルが出かける支度をしている音で目覚めた。
　

「おはよう、アザム。君はあの後そのまま眠ってしまったので――」
「あ、ベッドに運んで……ありがと」
　
　自分が宝石の中の紙を意味も解らないのに、一緒に眺めていてそのまま寝てしまった事に気がついた。

「今日はここから少し離れた場所に移動する。アザムも身支度してくれ」

　その言葉に首を傾げ眉間にしわを寄せているアザムだが、ベッドから降りて仕度を始める。
　ペンダントが首から出てしまっているのが気になり、シャツの中に隠すように仕舞う。

　そして空っぽになったヒップバックにゲーム機を入れた時、昨日までの事を思い出したが首を横に数回振った。

「で、できたよ」
「うむ」

　ベリルはアザムの支度が整った事を確認し先に部屋を出て、付いていくアザム。昨日のカウンターの男にチップをを渡し、二人は外に出て車に乗り込む。


　
　車をかなり走らせ、郊外よりもさらに離れた場所へと移動する。ベリルの車が停止した場所はもう使われていないガソリンスタンド。