メイソンは呆れつつも、隠さずに話をしようと考える。

「はっきり言うが、あのウイルスは……――」
「国が裏でって事だよな? 君達が来たんだから大体想像が付く。それとこちらからの情報はまず、十日程はあのウイルスは安心と言う事」

 驚いて言い返せないメイソンをよそに、トーマスは言い出す。

「それこそ、我々に任すべきでは?」
「あの子を狙っている奴がいる」

 ベリルは薄笑いを浮かべたまま、瞳を一瞬伏せて答える。

「どういうことだ!?」

 それに続けて今度はメイソンの瞳を見つめて話し出すベリル。

「君達には会社側から『薬と誤って、接種してしまった少年が逃げ出した』とでも連絡。だが私達は先ほど、中東の人間と思われる男に襲われた。此処までで仕組みが分かったかね?」
「もしや……逃げたのではなく、裏切ったということか!」
「そう、人間を使えば運ぶのも楽だし、チェックにもかからない。そして、他国の子どもを使う所もな……」

 メイソンは目の前の青年に唸ることしか出来なかった。



「最後に……戻ったらSクラスの傭兵の中に“一応”私が居る。調べてみたらいい」

 唸っているメイソンにそう伝える。

 

 そして車に戻り、窓からFBIの二人の携帯番号を交換して車は走り出す。
 
 何事も無かったかのように戻ってきたベリルにアザムは少し驚いた。