記録から探しダルコに電話をかけてみる。

<はい、ダルコですが? もしかしてティーロ……さんですよね?>
『あ、ああ、覚えていて……くれていたんだな。すまんが訊きたいことが……』
<ティーロさん? どうかしたのですか、声がちょっと――>

 なるべく普通を装うようにしているが痛みで声が震えている。同じ職を経験しているのもなら小さな変化も気になるのだろう。



『ダルコ、お前が昔言っていた‘凄い傭兵’って……』
<ベリルさんの事じゃないかな? “素晴らしき傭兵”と皆から信頼されています。って、ティーロさん何か、何かあったんじゃ!?>
『頼む……知っていたら連絡先を教えて欲しいんだ、時間がない』

 苦しそうというか、切羽詰っているというか、普通では無い事が声から感じられたダルコはティーロを信じベリルの連絡先を教える。

『“元傭兵”の私だというのに教えてくれてありがとうな……』
<あ、あのティ……――>

 ダルコが心配で声を掛けようとしたが、お礼だけを言い直ぐに電話を切ってしまった。